小説感想 後藤均「写本室の迷宮」



写本室(スクリプトリウム)の迷宮 (創元推理文庫)

写本室(スクリプトリウム)の迷宮 (創元推理文庫)


大学教授にして推理作家の富井がチューリッヒの画廊で出会った絵は、著名な日本人画家・星野の作品だった。画廊の主人から星野の手記を託された富井は、壮大な謎の迷宮へと足を踏み入れる。───終戦直後のドイツ。吹雪の中、星野は各国を代表する推理の達人たちが集う館に迷い込んだ。彼らが犯人当て小説「イギリス靴の謎」に挑む中、現実に殺人事件が起きる!虚々実々の推理の果て、導き出された驚愕の解答とは。そして星野の残した謎の言葉に翻弄される富井。年に一度だけ訪れる"迷宮の使者"とは?富井は全ての謎を解き、使者に出会えるのか?多重構造の謎が織りなす巧緻なミステリ。第十二回鮎川哲也賞受賞作。



地味ですけど良作かと。


あらすじ読む限りでは技巧の限りを尽くした虚実入り乱れるメタミステリ、との印象を受けるかもしれませんが・・・。実際はそんなにメタちっくな展開はなく、真っ当かつオーソドックスなミステリといった印象を受けました。読み手が混乱しないよーにか、わざわざ途中でネタ晴らしなどもしてくれているとっても親切(?)な内容だし。(別にラストまで伏せておいてもよかったんじゃね?と思わないこともないですが・・・)


作中作「イギリス靴の謎」に対する推理合戦や星野が残した手記に仕掛けられた謎など、中々ミステリのツボをついた良作なんですが・・・。なんですが・・・ッ!このラストは、このあざといまでのラストの引きはちょっと無いんじゃね?おかげで続編がすげー気になるじゃねーかっ!一体どーしてくれる!・・・って続編もう出てるの?出てるの。ならいい。じゃ買ってくるか。


個人的にはもちっとメタちっくな展開でもOKでしたが、まあこれはこれで。