小説感想 ジェームズ・アンダーソン「証拠が問題」
- 作者: ジェームズ・アンダースン,James Anderson,藤村裕美
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 1991/11/01
- メディア: 文庫
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八月の月曜の晩、わが家でひとり過ごしていたところ、出張中のなずの夫スティーヴンが突然帰宅してきた。仕事が早く終わったので、という弁解に釈然としないものを感じるアリソンだったが、真夜中を過ぎるころ、今度は二人の刑事の訪問を受ける。彼らは、今夜一件の殺人が発生したこと、その現場で死体のそばにひざまずいているスティーヴンの姿が目撃されたことを告げた。打ちのめされながらも、夫の潔白を証明するため、アリソンは奔走を開始したが・・・。多彩な作風を誇る技巧派の雄が、二転三転するプロットと意外な真相を仕掛けた会心作!
これが本格ミステリだっ!
バカミス(ワシ的にはね)「血染めのエッグ・コージイ事件」で有名なジェームズ・アンダーソンの作品。・・・とはいえ、エッグ・コージイとは作風をガラリと変えていますので、一読したところでは同じ作家さんとはとても思えないほど。エッグ・コージイは事件が発生するまでが長く、序盤がちとタルい印象がありましたが、本作では初っ端から飛ばしてますので冒頭からどっぷりと小説世界にのめりこむことができましょう。バカ要素は一切なく、ミステリの覇道を行くガチガチの本格ミステリですので、頑迷な原理主義者にもオススメの逸品。
つーか作者名伏せられた状態で本作読んだら、恐らく「何これ?ブランド*1の本?」と思わず口走ってしまいますよこいつぁ。それくらいブランド風味。ラストの怒涛のどんでん返し乱れうちにゃぁもう狂喜乱舞するしかねーって感じです。犯人が割とバレバレなのには目を瞑ってくれアミーゴ。
読了すればタイトルが実に味わい深く感じられるのもまたステキ。欲を言えば解決にもうひと捻り欲しかったところですが、まあそれは高望みしすぎかな。ワシとしては十分に満足です、ああ面白かったっ!
こいつぁ積んでる「ミンクコート」もはよ読まにゃですだよ。
*1:ゆーまでもないと思いますが「ジェゼベルの死」「招かれざる客たちのビュッフェ」でお馴染みクリスチアナ・ブランドの事ね