小説感想 カーター・ディクスン「爬虫類館の殺人」



爬虫類館の殺人 (創元推理文庫 119-2)

爬虫類館の殺人 (創元推理文庫 119-2)


第二次大戦中さまざまな毒蛇や蜘蛛など熱帯産の爬虫類を集めたロンドンの爬虫類館で、ふかしぎな密室殺人が発生した。厚いゴム引きの紙で目張りした部屋のなかでは、死体のそばでボルネオ産の蛇が運命をともにし、殺人手段にはキング・コブラが一役かっていた。けんらんたる原色の世界を背景に、幾重にも蛇のからんだ密室殺人に取り組むH・Mは、手品師の協力を得て謎をとく。結末の意外性は密室の王者カーの力作でも抜群である。



素晴らしいっ!


瀬戸川猛資氏の名著「夜明けの睡魔」にて紹介されたこともある本書。おかげでネタは前もって知っていたんですけど(;´Д`) でも素直に楽しめましたよ。つーか「目張り密室」とゆージャンルにも手をつけていたとはさすがカー。不可能犯罪の大家は想像のケタが違うぜ!お馴染みH・M卿も邪悪さ全開でユーモアもばっちり、まさに「これぞカー!」という極上の逸品かと。「ロマンス要素が古臭い」とゆーのは捨て置け。第二時大戦中、爆弾の被害に3度も合いながらこんなトリック(そしてミスディレクション)を考案していたカーの本格ミステリ魂に感服するがよい。


あー、やっぱりカーはいいなぁ。まだまだストックはあるので、定期的に読んでいこっと。


ちなみに「カーは興味あるけどちょっとなぁ」とゆー貴方は前述の「夜明けの睡魔」の「異次元の夢想───『爬虫類館の殺人』」の項目を読んでみるといいと思うんだ、本書のネタバレをされてるけどきっとカーが好きになるはずですっ!