小説感想 三津田信三「首無の如き祟るもの」
- 作者: 三津田信三
- 出版社/メーカー: 原書房
- 発売日: 2007/04
- メディア: 単行本
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奥多摩に代々続く秘守家の「婚舎の集い」。二十三歳になった当主の長男・長寿郎が、三人の花嫁候補のなかからひとりを選ぶ儀式である。その儀式の最中、候補のひとりが首無し死体で発見された。犯人は現場から消えた長寿郎なのか?しかし逃げた形跡はどこにも見つからない。一族の跡目争いもからんで混乱が続くなか、そこへ第二、第三の犠牲者が、いずれも首無し死体で見つかる。古く伝わる淡首様の祟りなのか、それとも十年前に井戸に打ち棄てられて死んでいた長寿郎の双子の妹の怨念なのか───。
本年度上期のベスト本格ミステリと断言しても問題ないっしょ!
つーかこれを読まずして今年の上半期は語れねぇ!(ずぅむ、と身を乗り出しつつ)
シリーズ1作目に比べホラー要素が随分と薄れましたが・・・。横溝的世界観とゆーか、ちょっと突っつくと暴発しそーなギスギスとした人間関係などは本作でも健在で相変わらずグイグイとストーリーに引き込まれます。冒頭から炸裂する怪奇趣味十分な不可思議な現象、中盤〜終盤にかけて畳み込まれるよーに発生する連続首無し殺人、シンプルかつ破壊力抜群な一発ネタ、メタ要素が効果的に作用するラスト、などなどありとあらゆる要素が絡み合って、まっこと濃密な本格ミステリと仕上がっておりやした。まさに至福の読書体験。こーゆーのがあるからミステリ読むのは止められないぜ。三津田信三氏に心からの感謝を。
つーわけで本格ファンの自認があるならば読め、読むんだっ!(まぁ高圧的) これをスルーするなんてあまりにも勿体ないぞっ!