小説感想 あせごのまん「余は如何にして服部ヒロシとなりしか」




クリクリとよく動く尻に目を射られ、そっと後をつけた女は、同級生服部ヒロシの姉、サトさんだった。ヒロシなら、すぐ帰ってくるよ───。風呂に入っていけと勧められた鍵和田の見たものは、緑色の張りぼての風呂桶。そこに裸のサトさんが入ってきて・・・。
ゆっくりと自分が失われていく恐怖を描く、第12回日本ホラー小説大賞短編賞受賞作。



表題作「余は如何にして服部ヒロシとなりしか」は言葉に出来ない薄さ寒さは感じられるんだけど、どーもワシ的にはちょいと微妙かなぁ。うーん、なんつーかな、幻想っつーか異様なシチュエーションを積み重ねていくっつーアプローチはいいんだけど、その個々のシチュエーションの連続性があまりにも脈絡がなさすぎて「???」と困惑しているうちに話を畳み込まれてしまってすげー消化不良とゆーか。(「ホラーの読み方がわかってねーなチミ?あーん?」と言われるとそれまでなんですが・・・)


ワシとしては他の収録作「浅水瀬」「克美さんがいる」とかのほーが楽しめたかな。特に「浅水瀬」はホラーの素人が頭に思い描くベッタベタのホラーともゆーべき作品で、ホラーを読み慣れないワシとしてはこれを大いに楽しんだものでありますよ。


トータルで見ればかなり良い短編集だと思います。表題作はツボに入る/入らないがハッキリすると思うのですが、まぁいずれにせよ一読して損はないかな?