小説感想 ジャン=ジャック・フィシュテル「私家版」
- 作者: ジャン=ジャックフィシュテル,Jean‐Jacques Fiechter,榊原晃三
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2000/12/01
- メディア: 文庫
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三ページめから、わたしは憎しみに満たされた・・・憎悪の本流に溺れかけながらも、わたしはこの新作が友人ニコラ・ファヴリをフランスで第一級の作家に押し上げることを確信した。テーマは新鮮で感動的だし、文体は力強く活力がみなぎっている。この時わたしは、復讐の成就のためにこの小説の成功を利用すればいいことを、一瞬のうちに悟った。本が凶器になる完全犯罪。ページに毒が塗られているわけではない。ましてや鈍器として使われるわけではもちろんなく、その存在こそが凶器となる・・・。フランス推理小説大賞「エル」読者賞等々を受賞した繊細微妙なフランス・ミステリの傑作!
うーん、悪くはないと思うけど・・・。
序盤〜中盤までは語り手のテンションがやたらと低いためか、何だかみょーに読みにくいんだよなぁ。語り手のテンションが上がり始める中盤以降はそれなりにさくさく読めるよーになるんだけど、そこまで辿り着くのがちょっと辛かったですよコレ。まぁそこを我慢できれば、後半はそれなりに愉快な詰め将棋ちっくなお話が展開されて楽しくなるから、序盤で投げずに頑張って読み通して欲しいところではありますが。
「本の存在こそが凶器となる」っつーことでバカミスちっくなウルトラC的オチを期待していたんですが、まぁそんなことはぜんっぜんないオチでワシとしてはそれがちょいとガッカリでしたよ(;´Д`)