小説感想 マイクル・コナリー「ラスト・コヨーテ」(上下巻)



ラスト・コヨーテ〈上〉 (扶桑社ミステリー)

ラスト・コヨーテ〈上〉 (扶桑社ミステリー)



ラスト・コヨーテ〈下〉 (扶桑社ミステリー)

ラスト・コヨーテ〈下〉 (扶桑社ミステリー)


ロサンジェルスを襲った大地震は、ボッシュの生活にも多大な影響を与えた。済んでいた家は半壊し、恋人のシルヴィア・ムーアとも自然に別れてしまう。そんななか、ある事件の重要参考人の扱いをめぐるトラブルから、上司のパウンズ警部補につかみかかってしまったボッシュは強制休職処分を受ける。復職の条件である精神分析医とのカウンセリングを続ける彼は、ずっと心の片隅に残っていた自分の母親マージョリー・ロウ殺害事件の謎に取りくむことに。「ブラック・ハート」に続く傑作ハードボイルド・シリーズ最新作。



冒頭、精神分析医のカウンセリングを受けているボッシュのシーンを読んだとき、「いつものボッシュだなぁ」と何故か安心したワシがここにいますよ。つーか揉め事起こしすぎですよボッシュさん(;´Д`)


まぁ、だがそれがいいんですが。むしろそーこなくてはボッシュじゃないよな。


本作はボッシュ・シリーズ第4作にあたります。前作「ブラック・ハート」ではボッシュが過去に扱ったドールメイカー事件を題材とした、言わばボッシュ自身の事件といった内容だったのですが、本作もまたボッシュ自身の事件ともゆーべき内容。母親殺しの真相を追う、「どー考えても救いがない話になるんだろうなぁ・・・」とゆーワシの期待に応えたまさに骨太の逸品でございました。


過去の事件を掘り返す、っつー展開なので上巻はちと単調気味でしたけど・・・。下巻に入っていきなり衝撃の展開を迎えたのをきっかけに、上巻のまったり展開が嘘のよーな怒涛のジェットコースター的展開が繰り広げられ息継ぐ暇すりゃありゃしません。つーかこんな展開でもどんでん返しをきっちり連発してくるところがコナリーのすげぇところよな。「どんでん返し職人」ジェフリー・ディーヴァーに勝るとも劣らない職人芸っぷりにゃぁもう感服するしかねっすよ。ほんとご馳走様でした。


つーわけでワシとしては大いにオススメしたい所存でございやす。興味を持たれた方はシリーズ1作目からどぞ。(単独で読んでも面白いですけど、やはりここはシリーズ1作目から・・・ッ!)