小説感想 ピーター・チェイニー「この男危険につき」



この男危険につき (論創海外ミステリ)

この男危険につき (論創海外ミステリ)


おれの名前はレミー・コーション。悪党の間ではちょっとした有名人だ。今夜は資産家の遺産相続者にして美貌の持ち主ミランダを追って、はるばるロンドンまでやって来た。そこで出くわしたのがギャングの親玉シーゲッラ。やつはおれと手を組みたいという。話がこじれてきやがった・・・。
裏切りが裏切りを呼ぶ、ド派手なアクションとスリル満点のストーリー。フランスをはじめ各国で人気を博したイギリス・ハードボイルドの歴史的作品。



なんという タフガイ。


タフガイ・・・口にするだけでイイ笑顔を思わず浮かべてしまうナイスな単語なわけなのですが、本書の主人公はまさにそのタフガイ。何しろ登場人物一覧の紹介で「タフガイ」と明記されているぐらいのタフガイっぷりです。そんなタフガイを周囲が放って置くわけがないっ!怪しげな美女&ギャングがストーリーに華を添え、次々と起こるハプニングも何のその、タフガイはタフガイらしくタフガイな行動をとってさらりと危機を乗り越えていくのです。(わかったから落ち着け)


とにかく何も考えずに楽しく読めるのが大変素晴らしい。中盤過ぎにちょっとしたサプライズがあるのも嬉しいところ。みんなも読んで「タフガイじゃ、仕方ないな」と何もかも許せてしまえばいいじゃない!つーわけで、本書はタフガイ+ハードボイルド+ギャング+美女が悪魔合体した、ステキ極まる愉快なクライムストーリーです。王道も王道でありますが、それが逆にやたらと新鮮に感じられるこの不思議。ほんと楽しいのでみんな読むといいと思うのよさ!