小説感想 シオドア・スタージョン「時間のかかる彫刻」
- 作者: シオドア・スタージョン,大村美根子
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2004/12/11
- メディア: 文庫
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正直な話、読み返すたびに驚かされる。もっとも臆面もなく喜びを表現できるように、これが他人の作品だったら、と思うくらいなのだ───著者お気に入りの中編「ここに、そしてイーゼルに」を劈頭に、ヒューゴー/ネビュラ両賞受賞の表題作、地球を追われた少年少女の成長譚「箱」、トイレット・ペーパーに端を発するSF法螺話「<ない>のだった───本当だ!」や、古式ゆかしい教えを今に伝える「フレミス伯父さん」など、全十二編を収録。本書は、著作リスト上の数年の沈黙を破ってシオドア・スタージョンが自ら健在と成長を宣した、往年の名作集である。
おおぅ、めっちゃ面白れー!やっぱすげぇぜスタージョン!爆発する奇想!溢れんばかりの情感!炸裂する黒いオチ!ワシはもう次から次へ繰り出される素敵短編に翻弄されるばかりでしたよ。かなり読みやすかったし、SFとしての難度も高くないと思うゆえ、スタージョン未読の人にもオススメしやすいと思いますよコレ。
じゃ、収録作のいくつかについてミニコメ。
「ここに、そしてイーゼルに」
ビジュアルイメージがとても強烈な作品。読んでて眩暈がしたのは久々ですよ。現実がファンタジーを、ファンタジーが現実を侵食するその流れが実にいい。
「<ない>のだった───本当だ!」
バカさ加減が頭ひとつ突き抜けているキチガイじみた作品(注:誉めてます)。よくもまぁこんな下らないネタ(注:くどいですが誉めてます)で書いたもんだよなぁ・・・。
「きみなんだ!」
よくある恋愛話かと思いきや・・・。タイトルの使い方が実に秀逸。
「ジョリー、食い違う」
後味悪っ!だがそれがいい。
「時間のかかる彫刻」
色々とデコレートされているけど、中身はストレートなラブストーリー。こーゆーもの大好きだなぁ。
いじょ、全12編(全部コメントはしてないけど)、ワシとしては大いに楽しんだ作品でした。つーかワシ、まだスタージョンの長編は読んだことないんだよなぁ・・・。そろそろ手を付けてみるかにゃ?