小説感想 ロバート・シェクリー「残酷な方程式」



残酷な方程式 (創元推理文庫 (614‐2))

残酷な方程式 (創元推理文庫 (614‐2))


融通のきかないロボットのため快適な探検基地から締めだしをくらい、太陽の照りつける荒地で乾からびながら、ロボットを説得して基地の中へ戻る方法を探る男の話、「残酷な方程式」。悪魔が現われて三つの願いをかなえてやるという。ただし、なにを願ったとしても、自分の最大の敵にそれが倍になってもたらされるというのだ、「倍のお返し」。宇宙学校を出たての新任副操縦士と、百戦錬磨のベテラン操縦士との葛藤を描く、「災難へのテールパイプ」など16編を収録。SF短編の名匠シェクリーの筆が冴える。



創元推理文庫の2007年復刊フェア作品。ちょっと前にハヤカワ文庫で復刊した「人間の手がまだ触れない」が個人的にツボだったので、このタイミングでの復刊とゆーのは何だ、あれだ、ひょっとしてワシのために復刊したのかっ?とこれは思わざるを得んな。(妄想が激しすぎです)


つーわけで早速取り掛かってみた次第でございます。内容としては「人間の手がまだ触れない」と同様、ガチのSFっつーよりは異色短編風味のものばかり。故に普段はSFに触れない方でも、割と取っ付き易い作品ではないかと思われます。・・・まぁ、どの作品も読後感が皮肉に満ちてるよなぁ、とか黒いオチ過ぎる、とか味のあり過ぎるものばかりですので・・・爽やかな感動などを求める人にはちょいと不向きのよーな気がしないでもない。ワシのよーな「いえーい黒いオチさいこー!いやっはー!」な人は何ら問題なく楽しめると思うのですけど。(ユーモア感が強い作風なので、そこまで後味悪いっつーこともないですが)


本作では「石化世界」、「それはかゆみから始まった」「消化管を下ってマントラ、タントラ、斑入り爆弾の宇宙へ」あたりが特にお気に入りかな。「それは〜」はおバカだから、とゆー理由で好きなのですが・・・。他の2作は事象の反転っぷりっつーか彼岸と此岸の逆転っつーか胡蝶の夢っつーか、そんな展開がツボにはまりましてございます。表題作「残酷な方程式」も結構なコメディっぷりで愉快愉快。


異色短編がお好きな方ならば是非。面白かったっすよ!