小説感想 グラディス・ミッチェル「ソルトマーシュの殺人」



ソルトマーシュの殺人 (世界探偵小説全集)

ソルトマーシュの殺人 (世界探偵小説全集)


ぼく、ノエル・ウェルズはソルトマーシュ村の副牧師をつとめている。牧師のクーンツさんは付き合いにくい人で、奥さんはやかまし屋だけど、姪のダフニは美人だし、村は平和そのもので、とやかく言うことはない。ところが、牧師館のメイドが父親のわからぬ子供を妊娠し、お払い箱になった頃から、村では妙な事件が次々に起き始めた。そして村祭りの夜、クーンツさんが何者かに教われ、大騒ぎをしているうちに殺人事件の知らせが飛び込んできた。そこで探偵仕事に乗り出してきたのが、お陣屋に泊まっていた魔女みたいなお婆さん。ちょっと気味の悪いところのある人だけおd、なんでも有名な心理学者で、おそろしく頭が切れる人。いつの間にか助手にされてしまったぼくだったが・・・。
魔女の地を引くという変り種の女探偵ミセス・ブラッドリー登場の、英国ファルス派グラディス・ミッチェルの代表作。



グラディス・ミッチェルはこれが初トライ。(積んでる「月が昇るとき」もはよ読まにゃ)


なんだろなぁ、トリックとかはあんまり凄いっつー印象は無いんだけど、みょーに印象に残る話でした。ゆったりとした展開っつーか、人間関係の妙っつーか、良くも悪くもいかにも英国ミステリらしいっつーか・・・。まぁ地味な佳品っつー感じ。「ファルス派」ってゆー謳い文句だけど、そんなにファルスって感じはしなかったんだけどそれはワシだけ?まぁスラップスティックとファルスは異なるものなんだろーけどさ。でも皮肉とか黒い笑いには満ちた作品だったとは思います、うん。


クラシックなミステリがお好きな人ならたまらん内容だろーけど・・・。やたらゆったりとした展開だし、ちょいと読んでて内容に散漫な印象を受けたので正直オススメはしにくいかなぁ・・・。面白いことは面白いんだけどさ。ま、読了後のお楽しみ、付録のミセス・ブラッドリーの手帳がかなりインパクトある内容だったのでワシとしてはそれで全て良しとするものです。すげぇぜブラッドリー婆さん!