小説感想 歌野晶午「密室殺人ゲーム王手飛車取り」

密室殺人ゲーム王手飛車取り (講談社ノベルス)

＜頭狂人＞＜044APD＞＜aXe＞＜ザンギャ君＞＜伴道全教授＞。
奇妙なニックネームをもつ5人がインターネット上で殺人推理ゲームの出題をしあっている。
密室、アリバイ崩し、ダイイングメッセージ、
犯人当てなどなど。
ただし、ここで語られる殺人はすべて、
現実に発生していた。
出題者の手で実行ずみなのである･･･。
茫然自失のラストまでページをめくる手がとまらない、
歌野本格の粋を心して噛み締めよ！

ラストは余計じゃね？


と思ってしまいましたが、概ねっつーか大変満足致しました。これは なんという ステキ バカミス。（異論は認めん）


内容的には作中でも語られているよーに「殺したい人間がいあるから殺したのではなく、使いたいトリックがあるから殺してみた」とゆー何とも不謹慎極まりない、本格ミステリっつー小説ならではの内容。つーわけで「ステキトリックを思いついたから仕方ないじゃないっ！」と言わんばかりのネタが目白押しであり、我ら読者は読んでて「ねーよｗｗｗ」と突っ込みを入れんばかりのバカトリックを楽しむことができるわけでありまする。とりわけ「求道者の密室」のネタには吹かざるを得ない･･･ッ！（犯人タフすぎ）


しかし本作に仕込んだ（？）1発ネタにゃぁちょっと吃驚したよ。この辺の騙しのテクニックはさすが歌野氏、と言った感じっす。本格好きならば読んで損なしの怪作といえましょうぞ。短編の形をとった長編っぽくもあり、長編っぽい短編っぽくあるとゆー何とも不思議な仕上がりなところも個人的には気に入りました。いやー面白かったなぁ！でもやっぱりラストは余計だと思う。