小説感想 ポール・アルテ「第四の扉」



第四の扉―ツイスト博士シリーズ (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

第四の扉―ツイスト博士シリーズ (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)


オックスフォード近郊の小村に建つダーンリー家の屋敷には、奇妙な噂があった。数年前に密室状態の屋根裏部屋で、全身を切り刻まれて死んだダーンリー夫人の幽霊が出るというのだ。その屋敷に霊能力を持つと称するラティマー夫妻が越してくると、さらに不思議な事件が続発する。隣人の作家アーサーが襲われると同時に、その息子ヘンリーが失踪。しかもヘンリーは数日後、同時刻に別々の場所で目撃される。そして、呪われた屋根裏部屋での交霊実験のさなか、またもや密室殺人が・・・。犯罪学者アラン・ツイスト博士が、奇怪な事件の真相を暴く。



うん、こりゃー国内の本格ミステリファンに歓迎されるわけだわ。


なんつーか、とってもオーソドックスな本格。前に読んだ「赤髯王の呪い」は「カーだなぁ」と思いましたが、本作からはあんまりカーっぽさは感じませんでした。怪奇趣味やロマンス要素など、初期カーが持っていた要素を上手くアルテ独特の作風に昇華しているっつーか。特に本作のスタイル(割と凝った内容なのです。ネタを割りたくないので詳細は避けますけど)からはあんまそんな印象を受けませんでしたぜワシは。やはりカーはカー、アルテはアルテだな。


で、本作ですが前述したよーにほんと凝った構成が見事です。とりわけラストの意外性とインパクトにはすげぇ吃驚としか。畳み掛けるようなこの展開にゃぁほんと脱帽ですよ。あまり翻訳ミステリっぽくない(変り種が多いフランス産とは思えぬシロモノです)ので、海外作品が苦手な方でも十分楽しめるのではないでしょうか。つーか本格ミステリファンでアルテを読んだことない人は損している、とここに断言いたしませう。大変に堪能いたしました、ほんと満足満足。


・・・さて、じゃぁ積んでるアルテ作品にも近日中に取り掛かるか・・・(;´Д`)