小説感想 ジェームズ・アンダースン「切り裂かれたミンクコート事件」



切り裂かれたミンクコート事件 (扶桑社ミステリー)

切り裂かれたミンクコート事件 (扶桑社ミステリー)


バーフォード伯爵邸のオールダリー荘へ、映画関係者たちが新作の下調べにやって来ることに。前回の殺人事件ですっかりパーティ嫌いになっていた伯爵も、ごひいきのスターが来ると聞いて大乗り気。娘のフィアンセ候補や遠来の親戚、飛び入りの大女優なども加わって、邸内は大賑わいだが、そこでまたもや殺人が発生し…。前作を上回る上質のユーモアと華麗な推理合戦、二転三転するプロット。復古本格の王道をひた走る幻の「オールダリー荘」シリーズ第二弾、待望の本邦初訳!



エクセレント!


前作「血染めのエッグ・コージイ事件」では豪快なトリックで読者の度肝を抜いたアンダースンですが、本作では打って変わってかなりの巧打者っぷりを発揮、地味ながらも堅実な作りとなっており、実に英国の風を感じる王道の本格ミステリでしたよ。事件が発生するまでがえらく長いので気の短い方は「だりぃ!」と思われるかもしれませんが、割とユーモア溢れる内容で引っ張りますのでその辺もワシとしてはあんま気にはならなかったとです。あと作中でところどころ用いられる小ネタがステキ極まりないと思うがどうか。知ってればニヤリ笑いができるあたり、ほんとアンダースンは巧みだな。


前作同様に解決編にはたっぷりとページを割いており、トリック・ロジック・サプライズの醍醐味を心底堪能できます。またエピローグも充実しており、かなり読後感がよいのも印象的。これは古典(つーほど昔の作品でもないけど)ミステリファンならば抑えておいて損は無い作品かと思われますゆえにさぁ読め読めっ!


・・・しかし、この内容でも「バカミスだなぁ・・・」と思ってしまったワシは脳が病んでいるのか orz