小説感想 リレー・ミステリ「吹雪の山荘 ───赤い死の影の下に」




晦日の夜、それぞれの思惑を胸に、吹雪の山荘に偶然集まったナディア・モガールたち。年が明ける直前"幽霊山荘"と呼ばれる山荘で首なし死体が発見される。吹雪で周囲と隔絶されたなか、謎の究明に乗り出す名探偵の面々。首なし死体の謎、そして呪われた山荘の呪縛を解くことが出来るのか───
閉ざされた別荘村で巻き起こる殺人と陰謀に、ナディア・モガール、刈谷正雄、ブッキー、若竹七海法月綸太郎ほか名探偵&ワトスン役キャラクターが挑む、本格リレー・ミステリ。



うん、まぁ、その、なんだ、こんなもんじゃないかな。


つーか企画そのものが古いので、今となっては「何でこの人が?」的な印象を持ってしまうのが否めないところなのですが(;´Д`) まぁぶっちゃけると具体的には岩崎正吾とかね*1。本作品のレギュレーションに「名探偵かそれに準ずるキャラクターを持っている作家」とあるのですが、岩崎正吾はシリーズキャラを持ってねーじゃんよ!しかもよりにもよって文庫落ちしていない「風よ、緑よ、故郷よ」の探偵役が登場かよ!とゆー突っ込みを入れざるを得ないあたりに、本作の企画の古さをこの辺から垣間見ることができますにゃ。(ひょっとして刈谷正雄は当時シリーズ化する予定でもあったのか?) あと学生アリスが登場しているのに、執筆者に有栖川氏がいないっつーのも今ひとつ腑に落ちないところですにゃ。巻末後書きによるとなにやら諸事情で執筆を回避したらしいんですが。


で、まぁ、リレー自体が長年に渡って繰り広げられたこともあり、ところどころ歪な点(特に学生アリスの扱い方)も感じられるんですが・・・。全体的に概ね上手く(豪腕ではありますが)まとめたなぁ、とゆーのがワシの印象です。「リレーミステリ = お祭り作品」的イメージがありますが、本作ではなるべく整合性をとろーとしているため、地味ながらもその辺がだいぶクリアされているっつーか。まぁでも強引に辻褄を合わせるためバカトリックを無理矢理捻出して「な、何とかこれで・・・ッ!」とギリギリのラインを綱渡りしていたりと無茶をやっているところもあるんですけど、・・・敢えて言おう、だがそれがいいと。それがいいのだ、うん。(自分に強く言い聞かせながら)


つーわけで割とそれなりのデキではありますので、リレーミステリに興味のある方なら読まれて損はないのではないでしょーか。でもまぁ、ぶっちゃけ、読まなくても人生損はしないと思うよ、うん。(ほんとにぶっちゃけた!)

*1:探偵の四季シリーズの最終作「探偵の春あるいはさよなら明智小五郎」はまだ〜?