小説感想 鳥飼否宇「本格的 死人と狂人たち」



本格的―死人と狂人たち (ミステリー・リーグ)

本格的―死人と狂人たち (ミステリー・リーグ)


数学科助教授は、異常な興奮状態に陥ると天才科学者に変態し、これまで数々の論文をものしてきたという。その彼がフィールドワークと称する「覗き」、その最中に殺人事件が発生し、あろうことか自分が容疑者にされてしまう。疑惑を払拭するために興奮状態になった彼が指摘した「真相」とは。研究しているのかされているのか、微妙な線上に繰り広げられるへそまがり理系ミステリー!



出オチにも程があるっ!


「変態」「擬態」「形態」「前期試験」「実態」の5編(実質4編)からなる短篇集なのですが、最初の「変態」があまりにもキョーレツ過ぎ。どこをどー突っつけばこんな考えに到るのか、完全にイかれている狂気また狂気の恐るべき内容であり即ちバカミスです本当にどうもありがとうございました。・・・いや、根っこの部分は割とストレートな本格ミステリなんですけど・・・、その、何だ、主役の助教授増田さんがあまりにもキているのでね(;´Д`) (どの辺がキているのかは秘密。まぁ読んで( ゚д゚)ポカーンしてみてちょ)


あと次の「擬態」も結構なバカミスです。回りくどいなコンチキショウ、とか思わずにその張り巡らされた(?)伏線の妙技に酔いしれるがよいよいよい。ああもうほんとバカミス最高!・・・しかし毎週必至こいて授業に参加したあげく、こんな試験を受けさせられた学生があまりにも気の毒すぎ。合掌。


「形態」は前述の2作に比べるとちとインパクトに劣ります(ネタに気づくかどーかで判断が分かれると思われます)が、刑事さんたちの愉快な掛け合いとか割と凝った内容とかで十分愉しめました。本作の中では一番クセがない作品ではないかな?


残りの「前期試験」と「実態」は・・・ええと竜頭蛇尾のよーな気がしないでもないけど、本作の締めくくりにはこれほど相応しいものはないよーな気もするとってもイカれた作品。つーかこれ読んで脱力しない人っているのか? まぁでも、だが それが いい。


つーわけで(?)素晴らしいバカミスですゆえ、バカミススキーならば必読の書かと。こんな作品を長年見落としていたとは・・・ orz