小説感想 荒山徹「高麗秘帖」
- 作者: 荒山徹
- 出版社/メーカー: 祥伝社
- 発売日: 2003/01/01
- メディア: 文庫
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文禄元年(一五九二)、太閤秀吉は二十万の大軍を朝鮮出兵させ首都漢城、平壌を占領した。が、朝鮮水郡を率いるたった一人の将軍によって撤退を余儀なくされた。その名は李舜臣。五年後、雪辱に燃えて再出兵した藤堂高虎は、舜臣を暗殺すべく忍びの者を派遣。一方、無益な戦を憎む小西行長は舜臣を救うべく使者を送った!日朝の愛憎を超える迫真の人間ドラマ!
うん、まぁデビュー作だしな・・・。
荒山センセイと言えば「朝鮮柳生」だの「朝鮮妖術」だのと、朝鮮を愛するがゆえに何処かで道を誤ってしまったけどそんなことは関係ねぇ!俺は俺の道を行くぜ!と言わんばかりの独自の作風を既に築き上げた、狂気の時代伝奇作家として知られているのは既にみなさまご承知だと思う(?)のですが・・・。本書ではデビュー作がゆえなのか、その辺の要素がこれっぽっちもありゃしませんでした。つーか柳生も妖術もないのにゃぁちょっと吃驚ですよ。何だセンセイまとも(?)な時代伝奇小説書けるじゃん!後半かなり急ぎ足だったけど、山風直系の骨太の人間ドラマと忍者アクションものとして普通に面白かったよ!そして朝鮮の内面を知ることができる歴史小説的なものとしても普通に面白かったよ!とは思ったのですが・・・。如何せん先に「十兵衛両断」とか「柳生雨月抄」とか、柳生力と朝鮮妖術力に目覚めた後のセンセイの作品を読んでしまっているので、何だか今ひとつ物足りなかったなぁ、とゆーのが正直なところです。
しまったなぁ・・・こんなことならちゃんと刊行順に、先に本書から読んでれば良かった。不覚 orz
まぁ荒山センセイワールドへの入門書としては最適だと思いますので、氏の著作を未体験の方は本書から入ってみたらいい感じかも。とりあえず朝鮮濃度は異様に高いゆえ、その辺に関しては期待は裏切られることはありませんぜ。