小説感想 ロバート・ファン・ヒューリック「紫雲の怪」



紫雲の怪 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ1809)

紫雲の怪 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ1809)


西の辺境の地・蘭坊の知事をつとめるディー判事のもとに、またもや奇怪な事件が持ちこまれた。町の郊外にある荒れ寺で、無残に断首された男の死体が発見されたのだ。被害者の男は地元のやくざ者で、境内で寝こんでいた男の友人が捕縛された。だが、やくざ者の喧嘩で断首は不自然ではないか?自ら死体を検分した判事は、首と胴体が別々の人間のものであることを発見する。では、もう一人の被害者は?そして、こんなことをした犯人の目的とは?奇々怪々の状況を、判事の名推理はいかに解き明かすのか・・・・・・・・・シリーズ中屈指の怪奇色を醸す傑作。



ヒューリックのディー判事シリーズを読むのはこれが2作目となります。


古寺に出没する幽霊などといった怪奇要素、断首された死体の謎、盗まれた黄金の謎、行方不明の女性の謎。これら複数の謎が絡み合ったプロットの妙技はもちろん、ディー判事の堂々たる名探偵っぷりによって明らかになる事実、そして犯人。やー、もう吃驚するぐらいの堂々とした本格っぷりで、もうケチのつけようが無いくらいに堪能致しました。つーか唐の時代の中国の市勢なども生き生きと描かれており、その辺も面白く読めるので時代小説としてもかなり一級品かと思われます。


シリーズを殆ど読んでないワシでも十分楽しく読めたので、シリーズ未体験の方も臆せず手を付けてみるといいんじゃないでせうか。






・・・ってあれ?えらくあっさりした感想になったな(;´Д`) 扱っている題材は割とトリッキーなのに、何だこのクセの無さは。(それだけ上手くまとまっているってことかな?)