小説感想 フィリップ・マクドナルド「ライノクス殺人事件」



ライノクス殺人事件 (創元推理文庫)

ライノクス殺人事件 (創元推理文庫)


F・X・ベネディックとS・H・リックワース、F・Xの息子アンソニーの三人が社主を務めるライノクス無限責任会社。経営はピンチだがこの急場を凌げば楽になる、という大事なときにとんでもないことが起こった。F・Xに積年の恨みを抱くマーシュという男が、ついに決着を迫ったのだ。慮外の凶弾に倒れた父のためにもと、アンソニーは何とか会社を持ちこたえさせる。ほっとしたのも束の間、ライノクスの命運は再び風前の灯に・・・。ゲーム性に富み稚気あふれる作風で名を馳せる著者ならでは、結末で始まり発端に終わる、実験的手法の得がたい収穫。



「結末で始まり発端で終わる」とゆー内容で古典ミステリ好きにはあまりにも有名な「ライノクス殺人事件」。何と半世紀ぶりに復刊されたわけなのですが・・・ええと、その、なんだ。ミステリはミステリでも、本格っつーよりはサスペンス重視の内容なのね、これ。ストーリーの殆どがライノクス社の建て直しに重視されているので、ガチ本格を期待して読むと ( ゚д゚)ポカーン となってしまうのでご注意されたし。(本格要素もちゃんとあることはありますが・・・)


でもまぁ、「結末」に至る「発端」の内容が割とステキっつーか、すげぇ腑に落ちてスッキリするっつーか、中々にイカス(死語)ものだったのでこれはこれで良し。読後感がいいねっ!


つーわけで、まぁそれなりに楽しく読める作品ではありますが、過度の期待を抱いて取り組むとガッカリすること間違い無しなので古典スキーは注意して取り掛かるが吉。