小説感想 ジョン・スラデック「蒸気駆動の少年」



蒸気駆動の少年 [奇想コレクション]

蒸気駆動の少年 [奇想コレクション]


奇才か変人か天才か?J・G・バラードらと共にニューウェーヴ作家としてデビューしながら、生涯奇妙な小説ばかりを書き続け、熱狂的なファンと大多数からの無視を得た作家ジョン・スラデック。ロボットSFにこだわり、パラドックス&パズルへの興味が高じて本格推理小説を書き上げ、模擬科学にのめり込み、言葉遊びで抱腹絶倒の理系ギャグ小説を生み出した究極の異色作家の、(たぶん)最初で最後の決定版!"奇想コレクション第14回配本"。


既存のタイム・パラドックスをあざ笑う表題作、スプラスティック・コメディ「古カスタードの秘密」、あの<四重奏>の荒唐無稽なパロディ「ベストセラー」、重力はないと"証明"する男の狂気を描く「月の消失に関する説明」、名探偵のサッカレイ・フィンやフェントン・ウォースが不可能殺人に挑む本格推理3篇、なぜか西部劇マニアな宇宙人が襲来する「ホワイトハット」、宇宙人が地球文化に溺れていく様を描く「おつぎのこびと」、グリム童話をさらに残酷に練り直した発禁寸前の「血とショウガパン」ほか、全23篇を収録。



ごった煮作品集すぎる(;´Д`)


統一感がまったくないっつーか・・・。シンプルなプロットで勝負してる作品、ガチの本格ミステリ、「正直、わけわからん」みたいな奇想極まる作品まで多種多用な23篇が収録されているのでやたら混沌とした作品集。読みづらくはないんですが、収録短編の内容の変遷が激しすぎるので読んでて頭の切り替えが激しく必要になる故、通常よりも気合を入れて取り掛かる必要がある短篇集だと思われます。(ダラダラと読んでると即「???」となりますので・・・)


ワシはスラデックバカミス「見えないグリーン」しか読んだことなかったので、ミステリ書きとしての印象しかなかったのですが・・・。いや、スラデックてほんと多才な人だったのね。つーかこの芸風で何でガチの本格ミステリを生み出せたんだ (;´Д`) 激しく謎すぎる。(本書ではミステリ3篇は明らかに浮いた作品だし)


この混沌感は一読の価値があると思われますので、スラデックに興味のある方は是非に。