小説感想 三津田信三「山魔の如き嗤うもの」



山魔の如き嗤うもの (ミステリー・リーグ)

山魔の如き嗤うもの (ミステリー・リーグ)


忌み山で人目を避けるように暮らしていた一家が忽然と消えた。
「しろじぞうさま、のーぼる」
一人目の犠牲者が出た。
「くろうじぞうさま、さーぐる」
二人目の犠牲者───。
村に残る「六地蔵様」の見立て殺人なのか、ならばどうして・・・。
「あかじぞうさま、こーもる」
そして・・・。



今回も素晴らしい内容でワシもう大満足。つーか伏線回収っぷりがあまりにも偏執の域に達していてちょっと吹いちゃった(;´Д`) ホラー的描写かと思っていた部分すらきっちり説明づけてしまうその手腕にはもう脱帽するしかねーっすよマジに。まったく油断ならねぇ作家だぜ、三津田信三・・・!


民族ホラー的世界観、怪しげな童歌、見立て殺人、閉鎖的な村社会の息遣い、そしてラストの刀城の推理の果てに明かされる犯人の意外性など、どれをとっても大変素晴らしい本格ミステリでございます。シリーズファンなら無条件で手にとって問題ないクオリティー。そーでない方も本格ミステリファンなら必読と言ってもよい作品。間違いなく本年度を代表する本格ミステリの1つでしょ、これは。