小説感想 山口雅也「キッド・ピストルズの最低の帰還」



キッド・ピストルズの最低の帰還

キッド・ピストルズの最低の帰還


よく似ているようで全然違う、パラレル英国へようこそ。
キッド・ピストルズとピンク・ベラドンナが、遂に還ってきた!───今回もまた、マザーグースの唄声響く、難事件を引き連れて。奇才・山口雅也が満を持して放つ、キッド・ピストルズ、13年ぶりの大復活!!



うむ、素晴らしい。


前作「キッド・ピストルズの慢心」からずいぶんと間が開きましたが・・・。クオリティー的にはまったく衰えておらず、久々のシリーズ新作としては十分納得の行く内容だったと思います。新旧5本の短編を収録しており、ちょいと小粒な感じは否めませんがどの話もキレがよいので本格ミステリファンなら十分に満足するかと。まぁ「パラレル英国ならでは」っつーロジックがあまり炸裂していなかったのがちょいと残念ではありましたが、まぁそれは今後の新作に期待かな。できれば次では「妄想」のよーな重厚かつ狂気あふれる中編をお願いしたいところ。「13人目の探偵士」以来となるシリーズ長編でもいいよ!


しかしモチーフにしているマザーグース、いくら詩が多いとはいえ、よくもまぁ詩とミステリ要素を毎度毎度関連づけられるよなぁ。詩が先にありきなのか、プロットが先にありきで詩をチョイスしてるのか。ちょっと気になるっす。