小説感想 ルーファス・キング「不思議の国の殺意」



不思議の国の悪意 (創元推理文庫)

不思議の国の悪意 (創元推理文庫)


アリスがまだ魔女や妖精を信じる幼い少女だったころ、親友のエルジーが突然姿を消した。彼女の行方も誘拐犯の正体も分からぬまま、事件は迷宮入りとなってしまう。それから十年、封じられていた魔法がいま、アリスを事件の真相へと導いていく。運命的な暗号の連鎖が不思議な世界を作り出す表題作を始め、五十年代のマイアミを舞台に描かれた、多種多彩な物語全八編を収録。作者の才人ぶりがうかがえる本書は、探偵小説史上の里程標的一冊として、かの「クイーンの定員」にも名を連ねている、エラリー・クイーンのお墨付きの傑作短篇集である。



黒いな!


異色短編風味・・・なミステリ短篇集ともいうべき本書。いい話もあるこたぁあるんですが、基本的にブラックな味わいの話が中心かな。でもそこまで後味悪いっつー感じでもなく、「黒いなぁ」と苦笑いで済ませられる程度のものなので読んでて鬱になるっつーほどでもありませんけど。


収録作では表題作「不思議の国の殺意」、これがやはりピカイチ。ガチの本格っつーわけではないですが、作中に漂う奇妙な雰囲気、それに真相に繋がる手掛かりなどが切れ味鋭く、とっても印象に残りました。あと「淵の死体」のオチの黒さ(笑うしかないなぁこれ)とか、「ロックピットの死体」における男女間の愛憎怨怒の行く末とかもお気に入りかな。中編とも言うべき長さの「死にたいやつは死なせろ」は何かダルいだけでちょいとイマイチだったのが残念(;´Д`)


ガチな本格ミステリファン・・・よりは、多少異色短編風味を好む人の方にオススメできるかな?ワシは面白く読めたので、読書傾向が当方と似ている方ならたぶん楽しめると思うとですよん。