小説感想 カーター・ディクスン「孔雀の羽根」




警察が厳重に監視する無人の空家。そこへはいって行った一人の男。その直後に、二発の銃声が鳴り響いた。空家に駆け込んだ刑事たちが発見したのは、後頭部と背中を、髪が焦げるほどの至近距離から撃たれた男の死体だけで、犯人の姿は影も形もなかった。死体のかたわらには凶器のピストルがあり、テーブルの上には孔雀の羽根模様のテーブル掛けと十客のティカップがのっていた。姿なき殺人者の謎と、それを予告した、ロンドン警視庁宛の不敵な招待状。ヘンリ・メリヴェール卿は最終章で32の手がかりを指摘して、この不可能犯罪の真相を解明する!



ほんとカーは面白いなぁ。


本作もまた強烈な不可能犯罪を扱っているんですが、それだけで終わらず小説としても傑作に仕立て上げているのはさすがカー。捜査の過程が面白いのなんのって、もう読んでてイイ笑顔が出まくりですよ。ティカップを専門にした秘密結社って何だよそれw そんなところまで大真面目に考えてしまうマスターズ警部は実にステキ。


トリックも精緻かつ豪快っつーか例によってバカミスクオリティなのですが、あらすじにもあるよーに終章でいちいち手掛かりを指摘するH・Mの説明を読んでると、何だか凄くまともに思えてしまうこの不思議。さすがカーだ、説得力がハンパねぇぜ!でもオチと孔雀の羽根自体についての説明はちょいとbばかし納得行かなかったけどな!(でもまぁカーだし許す)


つーわけでカーファンなら読んでみてもいいんじゃないかな、と思ったワシでしたとさ。