小説感想 ジム・トンプソン「ポップ1280」



ポップ1280 (扶桑社ミステリー)

ポップ1280 (扶桑社ミステリー)


ポッツヴィル、人口1280。この田舎町の保安官ニックには、心配事が多すぎる。考えに考えた結果、自分にはどうすればいいか皆目見当がつかない、という結論を得た。口うるさい妻、うすばかのその弟、秘密の愛人、昔の婚約者、保安官選挙・・・だが、目下の問題は、町の売春宿の悪党どもだ。思いきった手を打って、今の地位を安泰なものにしなければならない───饒舌な語りと黒い哄笑、突如爆発する暴力!人間の底知れぬ闇をえぐり、読者を彼岸へとみちびく、究極のノワール



神。すなわちGOD。


これですよ!これがワシが求めていた狂人ですよ!狂人による狂人のための狂人小説。もう何もかもが素晴らしい。中でも主人公・ニックの狂気っぷりは素晴らしすぎる。得体の知れない心配事に頭を悩ませつつ、「そうだ!問題を起こす奴をかたっぱしから片付けていけばいいんじゃね?」的ステキ発想をストレートに実行に移す、このドス黒い情念マジ素敵。そしてニックさん自分なりの論理とスジを持っている。これ重要。そして考えに考えた結果、ある日天啓を得てしまった。これもっと重要。もう誰もニックさん止められない。そしてニックさん止まる気がさらさらない。


全編通して漂うブラックジョーク的な味わいがとても素晴らしい本書、いやもう大変満足致しました。他のトンプスン作品も買ってみよっと。