小説感想 R・D・ウイングフィールド「フロスト気質」(上下巻)



フロスト気質 上 (創元推理文庫 M ウ)

フロスト気質 上 (創元推理文庫 M ウ)



フロスト気質 下 (創元推理文庫 M ウ)

フロスト気質 下 (創元推理文庫 M ウ)


ハロウィーンの夜、行方不明の少年を捜していた新米巡査が、ゴミに埋もれた少年の死体を発見する。そのうえ連続幼児刺傷犯が新たに罪を重ね、15歳の少女が誘拐され、謎の腐乱死体が見つかるなど、デントン警察はいつも以上に忙しい。よんどころない事情で払底している幹部連の穴埋めをするべく、これら事件の陣頭指揮に精を出すのは、ご存じ天下御免の仕事中毒、ジャック・フロスト警部その人。勝ち気な女性部長刑事や、因縁浅からぬ警部代行とやりあいながら、休暇返上で働く警部の雄姿ここにあり!警察小説の大人気シリーズ、待望の第4弾。



今年こそ出るよね?と思い続けて幾数年、やっと出ましたフロストシリーズ第4弾。今回も過去のシリーズ同様、複数の事件がほぼ同時に発生し、フロスト警部&デントン警察署の愉快な面々が東奔西走し事件解決に奔走するというお馴染みのパターン。やたら複数の事件が進行するので展開がめまぐるしく変化するゆえ、読んでるこちらは飽きる暇なく、「ええいっ何が何やら」というフロスト同様のてんやわんやっぷりを楽しみつつグイグイページを捲らされます。


つーか本作は過去シリーズに比べ、やたらキャラクターが立っている気がしますた。フロストは勿論のこと、マレット署長&ジム・キャシディの素敵かつ嫌なキャラ、部長刑事リズ、ハンロン、巡査部長ウェルズ、刑事の面々、いずれも濃い面子でフロストとのやりとりがまぁ面白いこと面白いこと。そして締めるところはきっちり締めるフロスト警部の警官としての信念、これが実に素晴らしい。


警察小説であるが故に、本格ミステリ的な意外性などは皆無に等しいですが・・・。どっしりとした重厚なミステリであることにゃぁ間違いないので、「本格じゃないしなぁ・・・」とスルーするのは勿体なさすぎる、とワシは愚考するものですよ。どのくらい面白かったって、当初「上下巻で2200円?高ぇ!」と思ってたのが読了後に「まぁこの内容ならアリだな」と意見を翻すくらいにw