小説感想 倉阪鬼一郎「紙の碑に泪を 上小野田警部の退屈な事件」



紙の碑に泪を (講談社ノベルス)

紙の碑に泪を (講談社ノベルス)


多方面で活躍する才人・西木遵が東京・八王子で殺害された。そのとき犯人は、遠く離れた渋谷のホールでクラシックのコンサートを聴いていた・・・!?一方、上小野田警部はアメリカ南部を舞台とした奇怪なミステリーを読みながら、とある場所で犯人の到着を待つ。警部はテッパンのアリバイを崩せるか!?鬼才・倉阪がまたしても仕掛けた、驚天動地のトリック!



や・・・やりやがった!反則スレスレだ!


と思わず唸ってしまうほどのステキバカミス。独特の美学に拘る変人・上小野田警部のキャラクターの大概ステキなのですが、それ以上にトリックが鬼畜っつーか豪快っつーかあからさまっつーか、ああもうほんとまともじゃねーな倉阪氏!(註:勿論誉めてます) どーゆー風にやってくれやがったのかについて触れると本書の楽しみが減ってしまうためその辺については避けるしかねーのが口惜しいっ。ネ、ネタバレ!ワシにネタバレ全開で語らせろーっ!


・・・ってトリックについての楽しみもいいのですが、一方で作中作「紙の碑に泪を」もかなりキている内容なのでバカミスファンには一粒で二度美味しいステキ極まりないゴージャスな内容なのでありますよ本書。(倒置法) つーかこれだけで1作書き上げてもよかったんじゃね?・・・まともなミステリファンなら怒り狂うか完全スルーするかのどちらかになるだろーけど、キワモノ好き(註:ワシ)な輩にとってはもう福音の書と言ってもいいぐらいの内容になったと思うとです。


短い割にはいろいろと盛りだくさんな内容なので、キワモノ、バカミス系がお好きな方は是非是非。