小説感想 D・M・ディヴァイン「ウォリス家の殺人」



ウォリス家の殺人 (創元推理文庫)

ウォリス家の殺人 (創元推理文庫)


歴史学者モーリスは、幼馴染の人気作家ジョフリーに招待されて、彼の邸宅<ガーストン館>に滞在することになった。実際は彼の妻ジュリアから、夫の様子がおかしいと訴えられての来訪だった。ジョフリーは兄ライオネルから半年にわたって脅迫を受けて悩んでおり、また、時を同じくして進む日記の出版計画が、館の複雑な人間関係にさらなる緊張をもたらしていた。そしてある晩、ジョフリーは行方不明になり、ライオネルもまた姿を消した。才能と頭脳、行動力全般に秀でたジョフリーに対して、少年時代から複雑な思いを抱くモーリスが見出した彼の意外な秘密とは。パズラーの好手が遺憾なく腕をふるう、英国探偵小説の王道。



うむ、王道も王道のクラシックミステリ。・・・って思ったら出版1981年かよ。割と近年なのに、何だこのクラシック感は(註:いい意味で)。すげぇなディヴァイン。まさしく英国本格の王道だぜ。


起きる事件も地味、途中の展開も地味、ドロドロとした嫌〜な人間関係、トリック地味、オチも地味、でも張り巡らされた伏線は周到、伏線が収束するロジックも見事、ゆえに得られるカタルシスは半端ないというシロモノ。犯人特定のための露骨な伏線に気付かなかったワシは負け組みなのか。負け組みだな。・・・消去法っつーかある程度のミステリの文法で「たぶん犯人こいつだろうなぁ」というぼんやりとした考えは持っていたんだけど、決め手の証拠かつアリバイが崩せなかったから完全敗北だよな orz


海外クラシックミステリがお好きな方ならばツボにはまること間違いなしな本作。本格ミステリってやっぱ面白いっ!