小説感想 ロバート・ランキン「ブライトノミコン」



ブライトノミコン―リズラのはちゃめちゃな一年間 (創元推理文庫)

ブライトノミコン―リズラのはちゃめちゃな一年間 (創元推理文庫)


二日前のことだ。ぼくは死んだ。正確に言うなら、バレンタインデーに、イースト・サセックス州にあるブライトンであの世へ旅立った。助けてくれたのはミスター・ルーン。神秘の探偵、麻薬愛好家、宇宙刑事、男の中の男、オカリナに新たな力を与えし者だ。記憶をなくしたぼくは、とりあえず彼が手がける事件の記録者となるべく、血の契約をかわした。それが、この奇想天外、奇妙奇天烈、棒腹絶倒(本当)な体験のはじまりだった!ヘンテコな事件がヘンテコな事件を呼び、珍妙な謎が珍妙な謎を呼ぶ。奇才ロバート・ランキンの個性炸裂、面白冒険譚。



シュール過ぎるぜひゃっはー!


ゼロに何を掛けてもゼロになるよーに、バカに何を掛けてもバカにしかならないという好例。そもそもタイトルと表紙からして無意味極まりないおバカっぷりを発揮しております。(「ネクロノミコン」を意識させますが、本書には怪奇要素などは何一つありゃしません) 劇中で繰り出される繰り返しギャグ、狂気極まりないキャラクター、「え?これが謎?」と言わんばかりの狂った展開、繰り出されるメタレベルの会話、そして脱力間違いなしのオチ、もう全てがシュール。全てがおバカ。全てが狂気。


600ページほどの大作ですが、清々しいほどに何一つ読後に残らない作りも超ステキ。何だこの内容の無さは。(註:誉めてます) でも文体っつーかギャグっつーか、間違いなく人を選ぶ作品ゆえ、興味のある方はまず冒頭の1章でも立ち読みしてから購入を検討するが吉かと。何せその調子で延々とラストまで続きますから・・・。


ちなみにワシ的には超ツボ。他の作品も是非訳出して欲しいなぁ。