小説感想 シオドア・スタージョン「きみの血を」



きみの血を (ハヤカワ文庫NV)

きみの血を (ハヤカワ文庫NV)


ある米軍駐屯地で、精神科医でもある少佐が一通の手紙の差出人である兵士を訊問した。文面があまりに異常だと思われたからだ。兵士のジョージは、少佐から手紙の内容を問いただされると態度を急変させ、コップを握り潰して彼に飛びかかろうとした。ところが、傷ついた自分の手から流れる血を見るや、いきなりそれを吸いはじめたのだ。ジョージの異常な行動を生んだ秘密とは?幻想的SFで知られる巨匠の幻の傑作登場!



そーいやスタージョンの長編読むのこれが初めてだよな。


で、まぁ、その、何だ。そりゃ少佐もあんな文面の手紙出されたら「何でよ?」と聞きたくもなるわな。そしてジョージが逆上した理由もまぁ、その、何だ。わからんでもないわな。そりゃ人間そーゆーことの一つや二つはある。で、まぁ、その、何だ。こんな輩の精神鑑定をまかされたフィリップさんも良い迷惑だよな。・・・と思ってたらフィリップさん、超のめり込む。もうのめり込むってもんじゃない。やる気満々。少佐が「もう勘弁してくれ」と言っても聞かない。嬉々として他人の心に土足で上がりこむ。そしてジョージさんが隠してたこと聞き出す。聞き上手。もう凄い聞き上手。そして手紙上手。手紙長ぇ。超長ぇ。もう手紙ってレベルじゃねーぞ!もう報告書。超報告書。読まされる方大変。ほんと大変。内容でジョージさんの過去が赤裸々に暴露。もう超暴露。しかも過去のこと書いたのジョージ本人。何で本人?それはフィリップさんおだて上手だから。超おだて上手。マジ半端ねぇ。でもジョージさんほんとの事書いたっていう証拠がない。ジョージさん嘘付く。嘘上手。騙りのテクニック半端ねぇ。でもフィリップさん疑心暗鬼。超疑心暗鬼。フィリップさん推理する。もう超推理。そしてフィリップさん真相を掴む。フィリップさん上手いことジョージに語らせる。ジョージさん語っちゃう。さすが精神科医


・・・というわけでホラーとしても、ミステリとしても読める中々の作品。でも奇妙な味、っつーのが一番本書に対して適切な言葉かも。だって読んだ後、「何このヘンな話」というのがワシの正直な気持ちだったし。ワシとしては「傑作だっ!」という風には感じませんでしたが、「まぁスタージョンならこれもアリだよな」という風に感じましたので、スタージョンのファンなら楽しめると思います。たぶん。