こいつぁ凄いぜ!



Boichi 作品集 HOTEL (モーニング KC)

Boichi 作品集 HOTEL (モーニング KC)



神。


Boichi氏がモーニングにて掲載した読みきり作品をまとめたSF短編集。


まったくもってノーマーク作品だったのですが、XBOX360のフレンドの方から「たぶんNOB@つんどくさんならこれ好きだと思うよ」と教えて貰ったので、早速購入して読んでみますた。そしてこれがまたワシのツボにドンピシャですた。もうね、読んでて「凄ぇ!何これ!」と興奮することしきり。ここまでテンションあがったのはプラネテスの1話読んだとき以来かもしれん。


表題作「HOTEL」では「客室に保存されたあらゆる種類(人間除く)のDNAを保存する」という使命を帯びたコンピュータ・ルイが延々とその役割を果たす物語なのですが、このルイの直向さがすげぇ泣ける。何年も何百年も何万年もただただ「管理する」という一点において機能するルイの働きっぷりはもう読んでて胸が痛くなってきて、ラストではもう号泣寸前ですよ、ええ。オチもステキですげぇ余韻が残る話。


「PRESENT」は時間SFかつ「病人と看護人」というベタなテーマなのですが、定番ネタだけあってこれもかなりグッと来ました。切なくてこれも泣ける。読了後に染み渡るタイトルがまた良いなぁ。


「全てはマグロのためだった」は打って変わってギャグ調の話。マグロが失われた世界にて「何としてもマグロを世に復活させてやんよ!」という科学者の一生を追ったストーリー。マグロのために行動しているのに、ことごとく変な結果に終わるのが何とも笑えます。


「Stephanos」は最後の(自主規制)のビジュアルに完全K.Oされますた。テッド・チャンの「地獄とは神の不在なり」をちょっと彷彿とさせる、と言えばSFファンの方には伝わるかな?・・・いやこれはワシがそう思っただけで、「違うんじゃね?」と言われたらあっさり意見を撤回するかもしれませんがw


「Diadem」はこの本のトリを飾る作品であり、オールカラーにて収録されております。これは壮大な御伽話というか、ラスト数ページのために存在するような内容。「Stephanos」と対を成す・・・気がしないでもないかな?


この他、ショートSFが4編収録されております。それも含めて、全編超絶高クオリティなSFだと思いますので興味のある人は是非読んでみてくださいな。


いやほんと、これは良い漫画。