小説感想 菊地秀行「魔界都市ブルース1 妖花の章」




新都心新宿は<魔震>に襲われ<魔界都市>へ変貌した。この街の一隅でせんべい店を営む美青年秋せつらは、また超一流の人捜し屋(マン・サーチャー)でもあった。闇に魅入られ怨嗟の渦巻く魔界都市に、人捜しの依頼人が絶えることはない。犯され実験動物として売られた女、麻薬中毒にされた美人歌手など、泥沼に喘ぐ女たちの行方を求め、せつらの指が優雅に舞い、妖糸が繰り出されるとき、悪を断つ"非情の魔人"に変身する・・・。妖美な詩情溢れる超伝奇小説『魔界都市ブルース』(妖花の章)ここに誕生!



読んだことは無くてもタイトルだけは皆さまよーくご承知の超有名シリーズ、「魔界都市ブルース」の1巻。いや、この前突然「読みてぇ!どーしても読みてぇ!」と思い立ってしまいうっかりシリーズ既刊全部購入した故、そろそろ崩そうかなと思いまして。


で、本書ですが秋せつらを主人公とした短篇集でございます。基本はセックス&バイオレンスなんですが、割と人情話が多くってちょっとビックリ。でもこれがすげぇ<新宿>のカオスな世界にマッチしてるんだよなぁ。つーかせつらさん超カッコええ。「僕」と「私」が切り替わるあたりの迫力はもう読んでて濡れる。抱いて〜〜〜ッ!!あンた〜〜〜ッ!!(小池一夫せンせ風表現)


どれも楽しく読めましたが、個人的には「影盗人」が一番楽しめました。せつらさんの「糸」と木村さんの「影盗」がぶつかり合う人外魔境大決戦っぷりがステキ極まりない。いやこれはほんと面白い作品でした。定期的にシリーズ読んでいきたいな。あと長編も忘れるなワシ。