小説感想 菊地秀行「吸血鬼ハンター"D"」




辺境の小村ランシルバに通じる街道で、"貴族の口づけ"を受けたドリスは、吸血鬼ハンターを探していた。西暦12090年、長らく人類の上に君臨してきた吸血鬼は、種としての滅びの時を迎えても、なお人類の畏怖の対象であり、吸血鬼ハンターは最高の技を持つ者に限られていた。そしてドリスが、ついに出会ったハンターの名は"D"、旅人帽を目深に被った美貌の青年だった。



読んだことは無くてもタイトルだけは皆さまよーくご承知の超有名シリーズ、「吸血鬼ハンター」の1巻。いや、この本もこの前突然「読みてぇ!どーしても読みてぇ!」と思い立ってしまいうっかりシリーズ既刊全部購入した故、そろそろ崩そうかなと思いまして。ここまで殆ど昨日の文章のコピペですまん。


前にアニメ版見た事あったんで世界観だとか、Dさんのキャラクター造詣とかは知っていたんですが・・・。いやはや、やっぱり原作の小説だとまた一味も二味も違いますにゃ。Dさんすげー寡黙な人かと思ってたら割と喋るときは喋るし。あとシリーズ1巻なので世界観の説明にかなり力入れてるし。そのため読んでて伝奇アクションものと同時に「あーSFだねぇ」と思ったりも。(色々と使われる道具が古臭い(良い意味で)SF感を出していてステキ)


ストーリー的には「吸血鬼ドラキュラ」への菊地秀行なりのオマージュ・・・という感じで、「血を吸われた依頼人が眷族化する前にDさんが吸血鬼をぶち殺す」というスタンダードもスタンダードな展開。まぁそのプロセスで怪しげな流れの傭兵達、村長の息子という立場を利用する小悪党、ステキ極まりない蛇の化け物などが登場し話に華を添えてくれるわけなのですが。あとDさんと依頼人の弟のやり取りが結構微笑ましいというかグッとくるよな。


しかしやはりこの話のツボは吸血鬼ラミーカの最後のセリフだよな。これは知っていてもやはり痺れる。そしてこの時、何故Dさんが吸血鬼ハンターという職業を選んだのかが瞬時に明らかになる構成は見事としか言い様がねぇ。


というわけでとっても楽しく読めた作品でした。これも定期的にシリーズの続編を読んで行きたいなぁ。