小説感想 芦辺拓「裁判員法廷」



裁判員法廷

裁判員法廷


ある日、あなたのもとに届いた一通の「呼出状」。
それがとんでもない日々の始まりだった───。


綿密な取材にもとづいた、本邦初の裁判員リーガルサスペンス。
これ一冊で裁判員制度の仕組み、公判の流れがすべてわかります
誰もがいつ選ばれるかわからない「裁判員」。
さて、あなたの評決は有罪、それとも無罪?



"裁判員"ミステリとか謳ってるけどぶっちゃけた話、芦辺氏の看板である森江シリーズの短編集でございます。氏の作品では割と法廷が舞台となることが多いので、裁判員制度を扱ったとはいえ従来のファンなら違和感なくこの世界観に馴染むことができるはず。そーでない人には謳い文句どーり「裁判員」もののリーガルサスペンスものとして読めるでせう。


で、3つの作品が収録されておりまして。「なるほど、こんな感じで裁判員交えた裁判は進むのかー。しかし、やっぱり法廷ものは熱いなぁ面白いなぁ」と思いつつ読んでたらさすが芦辺拓、トリッキーなネタを仕込んでおりまんまとしてやられましたよコンチキショウ。ネタが炸裂した瞬間「ほえ?」と思わず呆然ですよ、ええ。つーか裁判員リーガルサスペンスにこんなネタを繰り出していいのか芦辺拓。いやビックリ&凄まじいカタルシスを得たからワシ的にはいいんだけどさ。


これは各方面で言及されているよーにミステリあんま読まない人に「『裁判員法廷』のことがよくわかる面白い本があるよ!」とお奨めして読了後のリアクションを楽しみたいところです。