小説感想 石持浅海「君の望む死に方」



君の望む死に方 (ノン・ノベル)

君の望む死に方 (ノン・ノベル)


私は君に殺されることにしたよ。


膵臓ガンで余命6ヶ月───。
(生きているうちにしか出来ないことは何か)
死を告知されたソル電機の創業社長日向貞則は社員の梶間晴征に、自分を殺させる最期を選んだ。
彼には自分を殺す動機がある。
殺人を遂行させた後、殺人犯とさせない形で───。
幹部候補を対象にした、保養所での"お見合い研修"に梶間以下、4人の若手社員を招集。
日向の思惑通り、舞台と仕掛けは調った。
あとは、梶間が動いてくれるのを待つだけだった。
だが、ゲストとして招いた一人の女性の出現が、「計画」に微妙な齟齬をきたしはじめた・・・。



「仕込みはオッケー、さぁ早く私を殺してプリーズ!あンた〜〜〜ッ!」
「チャ、チャンスを窺わなきゃいけないからちょい待ち」


と、殺されたい&殺したいキャッキャウフフな状態の二人が児戯にも似た心理戦まがいのことをやっているところに「ちょっと待った〜〜〜ッ!この私の目の前でそんなことは許さなくってよ!」と妨害を始める女の姿がそこに!というお話なのですが、まぁ、その、なんだ。「扉は閉ざされたまま」の続編を謳う割にはちょいとどころではなくグレード落ちるっつーか、まぁ、その、なんだ。ねぇ。(何かに同意を求める目で)


石持氏お得意のヘンな思考に基づいて行動するキャラでまずもって生暖かい笑みを浮かべざるを得ないのですが、更にいかんせん前作と違ってサスペンス性が皆無に近く、また息詰る探偵VS犯人の攻防が殆ど無かった故に異様に物足りなく、「え?こんだけ?」と感じてしまいました。ミステリ的な面白さではなく、犯人と探偵と被害者がそれぞれ役割を果たそうと奮闘する話・・・としてはそれなりに読めるかもですが、それでもワシ的にはちょっと本書は微妙だなぁ。シリーズものでなく単発ものだったらちょっとサスペンス性高まったかもだけど。


読まれる際には変な先入観などは抱かずに心を無にして読まれるが吉かと。