小説感想 折原一「倒錯のロンド」



倒錯のロンド (講談社文庫)

倒錯のロンド (講談社文庫)


精魂こめて執筆し、受賞まちがいなしと自負した推理小説新人賞応募作が盗まれた!?───その"原作者"と"盗作者"の、緊迫の駆け引き。巧妙極まりない仕掛けとリフレインする謎が解き明かされたときの衝撃の真相。鬼才島田荘司氏が「驚嘆すべき傑作」と賞賛した、本格推理の俊鋭による渾身の長編推理小説



読まずギライですまんこってした。


つーか実は再読だったということに昨日気付いたという罠。どーもハードカバー版で12〜13年前に読んでたっぽい・・・んだけど、まったく覚えてなかったよ(;´Д`) 文庫版読了したあと本棚チェックしてて「あれ?何でハードカバー版が出てくるんだ?」とマジで考えたしな!というわけで新鮮なことこの上ない状態で楽しめました。


で、ツーと言えばカー、モッツァレラチーズと言えばトマト、高森朝雄と言えばちばてつや福本伸行と言えば「ざわ・・・ざわ・・・」とすぐさま連想できるよーに、折原一といえば「叙述トリック」、これ。多少訓練されたミステリ読みなら折原作品=叙述と結びつけるのは息を吸って吐くように、コーラを飲んだらゲップが出るよーに、もはや当然、周知の事実でありまする。


というわけで最初から「叙述が使われてるんだろ?」とワシは疑ってかかったゆえ、序盤で「あぁ、たぶん(自主規制)というネタを使う気だな?」と思って読み進めていたら、ものの見事に予想していた事象の3歩先ぐらいを軽やかに行かれてすんげービックリしましたよコンチキショウ。何この騙しのトリック。これは素直に「や、やられた・・・ッ!(ワナワナ)」と言わざるを得ない。そして得られるカタルシスがマジ半端ねぇ。あと道中のサスペンスフルな展開も素晴らしいの一言に尽きる。こんなイカス本に対し何ら感動を覚えなかった昔のワシをグーで思いっきり殴ってやりたい。


と言うわけでワンダフルの一言に尽きるナイスなミステリでござんした。これからは積極的に折原作品を読んで行きたく思う所存。