小説感想 鳥飼否宇「逆説的 ─ 十三人の申し分なき重罪人」




殺人、脅迫、誘拐、テロ・・・一見単純だが、どれもこれも一筋縄ではいかない複雑怪奇な事件が、次々と起こる綾鹿市。犯人は!?そして、事件の真相は!?事件解決に奔走する五龍神田刑事と、名推理を披露する謎のホームレス探偵「じっとく」───。本格ミステリーの奇才が12の犯罪と13の謎で読者へ挑戦する!



単行本「逆説探偵 ─ 十三人の申し分なき重罪人」の文庫版。あらすじにあるよーに短編集なんですけど、何か各編みょーに短い&強引な展開過ぎると思っていたら雑誌に毎月連載されていたものだったのね、これ。「毎月連載の連作短編」という枷を巧く使って次々とバリエーション豊かな内容・トリックを魅せるのは面白い試みだと思うけど、1冊の本というまとまった媒体で読まされると何かすんげー読みにくいと思ったのですがそれはワシだけなのか。毎回決められた枚数でテンポよくお話を進めるため多少は強引な展開になるのはわかるけど、ここまで圧縮されるとちょっとなぁ、という気がする。でもそれはちまちま読めばいいだけの話なので、ワシの読み方が悪いと言えば悪いんだけどさ。


内容的にはミステリのトリック集というべきシロモノ。基本的なトリックを一通り揃えているので、訓練されたミステリ読みなら「あ、こーゆー風にこのネタを使ってきたか」と色々と深読みできるあたりが中々に面白く思える・・・と思います。でもワシとしてはぶっちゃけ、まぁスルーしてもいいんじゃね?という気がしないでもない。そんなに狂った内容でもないのでそこは注意してね!