小説感想 湊かなえ「告白」



告白

告白


愛美は事故で死んだのではありません。
このクラスの生徒に殺されたのです。


我が子を校内で亡くした女性教師が、終業式のHRで犯人である少年を指し示す。ひとつの事件をモノローグ形式で「級友」「犯人」「犯人の家族」から、それぞれ語らせ真相に迫る、傑作サスペンスミステリ。



この本は禍禍しいほどの人の悪意と狂気に満ち満ちておる・・・ッ!


と言う訳で通常の読み手にとっては読後は嫌〜な後味が残り、ごく一部の読み手(註:ワシ)にとっては「ひゃっはー!」と快哉を叫びたくなる程愉快極まりないオチが待ち受けている本書。ラストシーンを想像するたびイイ笑顔になってしまって仕方ありませんぜ。いやもう、この手のジャンル(イヤミス*1)が大好きなワシとしてはゲップが出るほど堪能させていただきました。素晴らしいの一言に尽きます。復讐者と化した教師、自己陶酔する友人、現実を見ることが出来ぬ親、歪み・妬み・保身・増長などなど現代社会が生み出した狂気(便利な言葉だな)を抱え込んだ犯人。その内面を描写する筆力マジ半端ねぇ。そして徐々に明らかになる全体の真相もステキ極まりない。


というわけで嫌〜な話が大好きな方は是非に、と思うNOBさんでしたとさ。

*1:嫌〜な後味が残るミステリの略