小説感想 坂本康宏「稲妻6」



稲妻6

稲妻6


正義は人ではない、物でもない、おそらく力ですらない。正義はただ、心にある想いだ。愛する家族の未来を、少しでもよいものとするために、俺は、戦う!!変身!!───現代に舞い降りた新しいヒーロー、その名は、稲妻6(シックス)!



このご時世に変身ヒーローもの&オサレとは程遠いジャケ絵&文庫ではなくソフトカバーかよ!という何ともチャレンジャブルな出版社と著者に限りないリスペクトを示したい、とゆーことで「ま、つまんなくってもいいやね」と思い購入。そしてこの度読了したのですが・・・。ごめん、すんげー面白かったっす。えらく静かに熱い話でびっくらこきましたよ、ええ。


主人公は妻・子持ちの冴えないおっさん。そのおっさんがひょんな事から変身、通り魔的に殺傷を繰り返す患者(作中では敵をそう呼称)と戦いを繰り広げることになるのですが・・・。最初は「何で俺が」とかぼやいていたおっさんが、家族への愛情や事件の関係者たちの想いなど、色々なことを経験するうちに徐々に「戦うこと」についての意義を考え始め、最後に下す結論がまたベタながら熱いんだよなぁ。つーか全編通してベタな展開が続くんだけどさ。だがそれがいい。それがいいのだッ!こいつぁ変身ヒーローものとして、そしておっさんの再生ものとして静かな感動を呼ぶナイスなヒーローものとして広くオススメしていきたいと思った次第でありますよ。作中登場する武器やら敵やらについての色々なネーミングがベタ極まりなく、特撮とか好きな人ならツボに入ること間違いなしだと思うとですよん。


つーわけで結構面白かったので「キワモノっぽいなぁ」とか言わずに読んでみそ。