小説感想 ヘイク・タルボット「魔の淵」



魔の淵 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

魔の淵 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)


雪に埋もれた山荘で、今しも奇妙な降霊会が行われようとしていた。十四年前に雪山で行方不明になった伐採業者デザナの霊を呼び出して遺志を聞き、伐採事業を巡る争いに決着をつけようというのだ。集まった関係者が半信半疑の面持ちでテーブルにつくと、突如デザナの亡霊が出現。未亡人のアイリーンを口汚く罵ると、何処ともなく消え去った。さらにその晩、アイリーンが密室状態の部屋で頭を斧で割られて死んでいるのが発見され、事件は混迷の様相を・・・不可能犯罪の連続技と全篇に横溢する怪奇趣味。本格ファン、狂喜乱舞の幻の名作が遂に登場。



本格原理主義者が大喜びしそうな本格ミステリ。もちろんワシも大喜び。この手の「人知を超えた存在」を感じさせるオカルト風味たっぷりのミステリは読んでてテンションがウナギ昇りだね!キャラクターの相関関係や事件の内容がちと把握しづらいよーな気がするので、事件現場見取り図などを見つつじっくりと腰を据えて取り組む必要がありますが、解決編で明かされる事実はその労力に見合ったもの、いやさそれ以上のカタルシスを与えてくれるので「面倒だなー」とか思わず気合を入れて読むとよいよいよい。中盤越えたあたりから徐々に窺える不可能犯罪っぷりにゃぁゾクゾクするし、また「どうオチをつけるんだ?」とゆー読んでる最中のワクワク感は異常。だが期待しすぎると肩透かしを食うかもなのだ注意だ。


というわけで本格ミステリ好きならば安心してオススメできる作品でございます。シリーズ前作となる「絞首人の手伝い」合わせてもどぞ。(「絞首人の手伝い」読んでからの方がより楽しいかな?)