小説感想 ロナルド・A・ノックス「サイロの死体」



サイロの死体 世界探偵小説全集 (27)

サイロの死体 世界探偵小説全集 (27)


イングランドウェールズの境界地方、ラーストベリで開かれたハウスパーティで、車を使った追いかけっこ<駆け落ち>ゲームが行われた翌朝、邸内に建つサイロで、窒息死した死体が発見された。死んでいたのはゲストの一人で政財界の重要人物。事故死、自殺、政治的暗殺と、様々な可能性が取り沙汰される中、現場に居合わせた保険会社の探偵ブリードンは、当局の要請で捜査に協力するが、一見単純に見えた事件の裏には、ある人物の驚くべき精緻な計算が働いていた。考え抜かれたプロットと大胆なトリック、手がかり索引を配し、探偵小説的趣向を満載した傑作本格ミステリ



「探偵小説十戒」でお馴染みノックス大僧正の作品。前に読んだ「陸橋殺人事件」が予想もつかない程のフリーダムかつアナーキーバカミスだったので本作も一体どんな内容なのやら、とワクワクしながら読んだのですが・・・。この期待は違う意味で裏切られました。主にバカミス的な意味で。つーか普通にガチの本格ミステリじゃねーかよ。やるなノックス僧正。正直まとも過ぎてビックリだぜ。王道も王道、古式ゆかしい本格探偵小説的な内容で古典好きには辛抱たまらん作品だと言えよう。サイロを使ったトリックも愉快だし、伏線の張り巡らせ方も巧妙だし、皮肉あふれる捻くれたオチもステキ極まりないし、何より全体的にユーモア溢れる雰囲気が実に良いね!これはいいミステリ。


というわけで普通にオススメです。尖ったところがあんま無いのでインパクトには欠けると思うけど。