小説感想 エドマンド・クリスピン「白鳥の歌」



白鳥の歌 (世界探偵小説全集)

白鳥の歌 (世界探偵小説全集)


オックスフォードで催されるワーグナー歌劇の稽古中、歌手としては一流ながら人間的には最低の男ショートハウスが様々なトラブルを引き起こしていた。そして初日も間近に迫ったある夜、歌劇場の楽屋でショートハウスの首吊り死体が発見される。死亡時刻には現場は密室状況にあり、作曲家で奇行で知られる被害者の兄、恋敵の歌手、理不尽な扱いを受けていた新人指揮者など、殺人の動機を持った容疑者には事欠かなかった。友人の求めに応じて事件の解明に乗りだしたオックスフォード大学の名物教授ジャーヴァス・フェンだが、歌劇場の周辺ではその後も怪事件が相次いだ・・・。本格黄金時代の後継者クリスピンが、J・D・カーばりの不可能犯罪に挑んだ円熟期の傑作。



やっぱ密室トリックはこうこなくっちゃね!(とてもイイ笑顔で)


多少無理があろーが強引だろーが「そりゃねーよ」と言われよーが、やはり密室構成にはこう豪快なネタで攻めてこなくっちゃいけませんよチミィ。やはり不可能犯罪はイイ・・・実にイイ・・・ッ!


全編に渡ってオペラ趣味な感じの話なんですが、オペラ知識がなくとも普通に読めますのでご安心をば。あとジャーヴァス・フェン教授がとてもステキ極まりないキャラなので探偵萌えでも読み進められるぞ!シェークスピアやら何やらからやたらとセリフを引用し、かつ愛車にはステキなネーミングを施し豪快なスピードですっ飛ばし多少の衝突はキニシナイ、そんな豪快かつ愉快なキャラなので「いいキャラだなぁ」とニヤニヤしながら読み進められるので「翻訳ものはどーも読みにくいんだよなぁ」って人にも安心だしな!


全編に渡って漂うユーモア感、かつ読後感も良いので古典に親しみのない方にも安心してオススメできる作品かと。面白かったっすよ。