小説感想 ヘンリー・ウエイド「警察官よ汝を守れ」



警察官よ汝を守れ 世界探偵小説全集(34)

警察官よ汝を守れ 世界探偵小説全集(34)


ブロドシャー州警察本部長スコール大尉は復讐を誓う元服役囚に脅かされていた。20年前、森番殺しの罪で裁判にかけられた男は、大尉の証言によって重罪にされたのを恨み、殺人予告まがいの手紙を送りつけてきたのだ。そしてついに、警察本部内に二発の銃声が響きわたった。白昼執務室で本部長が射殺されるという大事件、しかも厳戒態勢にあった現場から犯人の姿は煙のように消え失せていた。元服役囚の追跡に全力をそそいだ地元警察の捜査が完全に行き詰まったあと、スコットランド・ヤードから派遣されたプール警部は、第二の、恐るべき可能性を模索しはじめる・・・。リアルな警察捜査と重厚な謎解きのスリル、本格探偵小説の醍醐味を満喫させる実力派ヘンリー・ウエイドの代表作。



これはよい警察ミステリ。


警察署内で警護状態にあった本部長が射殺されてしまうという不可能犯罪性、そして外からやってきた捜査官と地元の捜査官の対立、徐々に明らかなる事実によって警察署内に犯人が?という展開、高まるサスペンス!・・・なのにあんまりカタルシスを感じないのは何故なんだぜ?い、いや捜査するプール警部は事実を心に秘めるタイプではなく割と(読者に)オープンな形で捜査するので犯人が途中から明らかになるっつーのもあるんだけどさ、それにしてもこのあっさり感はちょっと残念すぎる気がするぞい。それを生かした形でもちっと捻りが加わってると言う事なかったんだけど。


とはいえ面白い事には間違いないのでまぁ古典好きなら読んで損はない気が致します。同全集の「推定相続人」とはまた違った味わいがあるしね!