小説感想 ハリントン・ヘクスト「テンプラー家の惨劇」



テンプラー家の惨劇 世界探偵小説全集 (42)

テンプラー家の惨劇 世界探偵小説全集 (42)


イングランド南部の丘陵地に宏壮な屋敷を構える名門テンプラー家を突如襲った黒い影。渓谷の小道で、石楠花の咲き乱れる湖岸で、ロンドンの裏通りで、一族皆殺しを図るかのように次々に凶行を重ねていく謎の殺人者に、警察もまったく為す術がなかった。事件ごとに現場付近で目撃される黒衣の男の正体とは?そもそも犯人の目的は何なのか?数多の恐ろしい謎を秘め、運命の歯車は回り続ける。バーザン&テイラー『犯罪カタログ』や森英俊『世界ミステリ作家事典』が「類例のない傑作」と口を揃えて激賞するヘクスト=フィルポッツの異色ミステリ。



キ、キチガイだー!キチガイが出たぞー!


というわけでキチガイな犯人さんが告白する動機がとっても愉快極まるシロモノだったのでワシとしては本書をそれだけで許してしまうものであります。・・・い、いや「犯人バレバレじゃねーかYO!」とか「警察ちょっと無能すぎね?」とかゆーのは読んでてヒシヒシと感じたんだけどさ、そーゆーのをカバーするだけのインパクトはあると思うんだ、本書。この思い込んだら一直線的な犯人の思考っぷりは惚れる。「だって(ネタバレにつき自粛)の為なんだからしかたないじゃん!」というあたりが実にステキだ。


というわけで、まぁ、その、古典ファンなら読んでもいいんじゃないかなーと思われます。本格ミステリではなくサスペンス調の話だと思って読めば楽しいよ!楽しいよ!(たぶん)