ボワロ&ナルスジャック「技師は数字を愛しすぎた」



技師は数字を愛しすぎた【新版】 (創元推理文庫)

技師は数字を愛しすぎた【新版】 (創元推理文庫)


パリ郊外の原子力関連施設で起きた殺人事件。技師長が射殺され、金庫から重さ20キロほどもある核燃料チューブが消えた!そのチューブは、パリ市民を核爆発、放射能汚染の恐怖にさらす危険物だ。スパイ事件か?司法警察の捜査が開始されたが、犯行現場は完全な密室状況だったと判明。さらに続く不可能状況での事件。仏ミステリ界を代表する共作作家による、傑作本格ミステリ



おフランス産の本格ミステリ


常々おフランス産の作品は頭オカシイという偏見を持っているワシなのですが、本書もその期待を裏切ることない作品でありました。どうしてこうヘンテコなンだおフランス。いやこれは読み手のワシが悪いといえば悪いのだけどさ。つーか上記あらすじがあかンのや、色々と。


普通、「本格ミステリ」で密室アピールしている作品つったらあれですよ、そりゃ密室がメインだと思うじゃないですか。いやメインじゃなくても「密室」の解明は作品の中でも華がある、いわば探偵の見せ場の1つですよ。でも本書そうじゃない。序盤の「これ密室じゃね?」という不可能犯罪が判明しても、「密室」は割と脇に追いやられ「どうやったか皆目検討がつかぬがとりあえず怪しいヤツいるし、もう犯人捕まえればそれでいいじゃンよ」とある意味真っ当な思考の元に話が進むわけなのですよ。冒頭以外にも「密室」絡みの不可能犯罪が出てくるのですが、やはりそれでも「犯人捕まえれば以下略」的なストーリー進行。一応最後に密室は解明されることになるのですが、最後の最後まで密室を扱いながらも焦点が合ってない感、微妙にピントがズレている感がつきまとう。しかしそれがいい意味で色々と作品の味を創りだしており、中々に面白く思える作品となっているのだからやっぱおフランス産はヘンテコやわ。偏見深まるばかりやわ。


とりあえず皆読ンで「面白いけど思ってたのとちょっと違う」と微妙に困惑するがよいよいよい