小説感想 早見江堂「人外境の殺人」



人外境の殺人

人外境の殺人


"紫の館"と名付けられた北海道の山荘を襲う、謎多き連続殺人事件。ミステリ研究会主催の推理劇に集まったメンバー八人の男女が次々と殺されていく・・・。ゲストとして招かれていた名探偵の兄弟たちは犯人を暴くことができるのか?しかし現場は吹雪によって閉ざされたクローズドサークル。忍び寄る殺人鬼は残された生存者の中に!?凄惨な事件に秘められた、過去から連綿と続く悲しき物語とは!



本格ミステリ館焼失」「青薔薇荘殺人事件」に続くシリーズ完結編。前2作のネタバレ全開で話が進むっつーか明らかに読んでる人向けに書かれたブツなので、本書から読んでみようかな、という気は間違っても起こしちゃダメだっ。痛い目見るぞ!


で、まぁ前2作を踏まえた上での作品、と考えると割と楽しく読めました。「もう脱本格とか非本格とか変格とかそんなレベルじゃないよね!」とか「別名義にしてまで作者の中の人は一体何をやりたかったのか」とか「このオチはねーよ」とかツッコミどころがありすぎて頭痛くなり結果その辺を総スルーする必要があるけれども、それなりのサスペンス性はあったので少なくとも

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⊂(#・ω・) 
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"し―-J |‖|| 
    _人_ 
    \ _人>=3 



というレベルじゃぁなかったかな、と思います。というかシリーズがあまりにもマイナス方向に突き抜けてしまっているので、これはこれで愛せるぞワシ。うん、愛せる。何かほっとけない魅力がある。ダメすぎるが故に保護してあげたくなる。


というかこれ3部作まとめて1冊で刊行してりゃぁそれなりにいい作品になった、と思うんだけどなぁ。ボリューム的にも内容的にもそれで丁度良いぐらいだと思うんだワシ。「ハードカバーで3冊とも買ってね!」とゆーにはちょいと辛いものがあるぞこれ。


というわけで「オレは選ばれた兵(つわもの)だっ!」という根拠の無い自信をお持ちの猛者のみ吶喊して突撃することを許可するッ!