小説感想 湊かなえ「少女」

少女 (ハヤカワ・ミステリワールド)

このまま生きていくのって、ちょっとムリっぽい。リセットするね。バイバイ。
始まりは一通の遺書だった───


高2の夏休み前、由紀と敦子は転入生の紫織から衝撃的な話を聞く。彼女はかつて親友の自殺を目にしたというのだ。その告白に魅せられた二人の胸にある思いが浮ぶ───「人が死ぬ瞬間を見たい」。由紀は病院へボランティアに行き、重病の少年の死を、敦子は老人ホームで手伝いをし、入居者の死を目撃しようとする。少女たちの無垢な好奇心から始まった夏が、複雑な因果の果てにむかえた衝撃の結末とは？

感動的でありながら後味悪く、登場人物が計算高いよーで天然のよーにも思える、「持ち上げて落とす」「落して持ち上げる」のテンプレートをこれでもかとゆーくらいになぞりつつ展開するミステリ。ラストでは「うへぇ」とリアルに声が出てしまいますたよ。まぁある意味少女たちの成長を描いた青春小説と言えないこともないけど、こんな青春は嫌だ、嫌だよぅ。


登場人物らがどいつもこいつもステキ思考の持ち主なので序盤は感情移入しにくく、「何だこの生き物は」と思われる方もいらっしゃるでしょーが中盤あたりからの展開が神がかってきますので序盤で諦めずにとりあえず中盤ぐらいまでは頑張って読んで欲しいもんです。そしたら後半はノンストップで突っ走れると思うので。でもゴール付近でクラッシュしたか無事ゴールしたかと思えるかは読み手次第だがな！


というわけで当方的にはオススメの作品。本屋大賞を受賞した「告白」がお好きな方、本書から湊かなえ氏にトライしてみよーと思われる方、どちらにも安心してオススメできますのでささ、迷わず読まれるがよいよいよい。イヤミス*1も楽しいものですよ？

*1:いや〜な後味が残るミステリ、もしくはいや〜な展開が続くミステリ