小説感想 津原泰水「たまさか人形堂物語」



たまさか人形堂物語

たまさか人形堂物語


小さなお店に今日も謎と人形がやってくる!


祖母の形見の零細人形店を継ぐことになったOL澪。押しかけアルバイトの人形マニア、冨永くんと謎の職人、師村さんに助けられ、お店はそこそこの賑わいを見せていた。「諦めてしまっている人形も修理します」という広告に惹かれ、今日も傷ついた人形を抱えたお客がやってきて澪たちは東奔西走することに。チームワーク抜群の3人の活躍が始まる。



これはいい話。


日常の謎」系統のミステリ・・・ではあるけれども、本書は人形店を巡って展開される人情話っつーか心暖まるいい話(ダークな話もあるけど)に力を入れているっつー感じかな。殺伐としたワシのハートにダイレクトアタック、読んでるワシのハートはブロークン。魂から癒されるグッとくる連作短編集でした。いやもうこれはいい話。とりわけ連作ならではの特徴を生かした最終章「スリーピング・ドール」のベタな展開が実によろしくってよ。これはほんとグッとくる。


つーわけで癒しを求めるいい話が大好きな人にオススメ。人が死んだり死なせたりする殺伐とした話もいいけど、たまにはこんなあったかい話もね。