小説感想 梓崎優「叫びと祈り」



叫びと祈り (ミステリ・フロンティア)

叫びと祈り (ミステリ・フロンティア)


砂漠を行くキャラバンを襲った連続殺人、スペインの風車の丘で繰り広げられる推理合戦、ロシアの修道院で勃発した列聖を巡る悲劇・・・ひとりの青年が世界各国で遭遇する、数々の異様な謎。選考委員を驚嘆させた第五回ミステリーズ!新人賞受賞作「砂漠を走る船の道」を巻頭に据え、美しいラストまで一瀉千里に突き進む驚異の連作推理誕生。大型新人の鮮烈なデビュー作!



5編からなる連作短編集。正直、ラストの「祈り」は余計(とゆーか蛇足とゆーかこれだけ異質)だと思うけど、冒頭のデビュー作「砂漠を走る船の道」から4話「叫び」まではすげぇクオリティー高い作品でもう読んでて「これが本格ミステリだよなぁ」とヒシヒシと感じました。不可解な謎、異様なシチュエーション、驚きの真相。オーソドックスながらトリッキーさを持ち合わせるこの作風はすごいとしか言い様がねぇ。言い様がねぇぜ!身構えていてもあっさりと切り捨て御免されたのはほんと久しぶり。実に気持ちよく読むことができました。これはいいミステリ。いい本格。


しかし読んでて何となくT・S・ストリブリングに通じる何かを感じたのはワシだけなのだろうか・・・。