アストロシティにようこそ



アストロシティ:コンフェッション (JIVE AMERICAN COMICSシリーズ)

アストロシティ:コンフェッション (JIVE AMERICAN COMICSシリーズ)



現代最高のコミックブック。以上。


と帯に書いているセリフがこの本の全てを表していると思うのですが、ざっと内容を紹介。

スーパーヒーローが多数活躍する都市アストロシティ。父と死別し、誰からも尊敬される人物となろうとシティへとやってきた少年は、ある日シティで活躍する謎のクライムファイター・コンフェッサーのサイドキック・オルターボーイとして活動を共にすることになる。「パターンを探せ。通常とは違うパターンを」コンフェッサーは語る。師に学び、ときおり反発しオルターボーイは成長する。そのころシティでは連続殺人事件が発生しており、事件はコンフェッサーとオルターボーイを巻き込み思いもよらぬ方向へ・・・



アストロシティ」という作品はバットマンやスーパーマンX-MENみたいに長い歴史ある作品ではないため、本書から入っても十分に楽しめます。というか邦訳作品は「ライフ・イン・ザ・アストロシティ」のもう1冊しかないし。(こちらはヒーローの日常を扱った中々に面白渋い作品) つーかもう絶版でアマゾーヌとかでは法外な値段がついてるし(´;ω;`)


で、本書「コンフェッション」は見る人が見なくてもすぐわかる、バットマンをモチーフにしたと言いますか、オマージュ的な作品です。バットマン=コンフェッサーであり、ロビン=オルターボーイですね。師弟関係はまさにそのまンま。年長のバットマンがロビンを導くよーに、コンフェッサーがオルターボーイを導くのですよ。とはいえこれだけだと単なる模倣作品で終了、ということになるのですが・・・。本書が並のアメコミと訳が違う点は、それは主役がバットマンとロビンでない、というところにあります。「そりゃ「アストロシティ コンフェッション」という作品なのだからあたりまえだろ」とお思いの方、しばし待たれよ。バットマンとロビンでない、ということはこの二人を扱った作品ではできないことが出来るわけなのですよ。つーかぶっちゃけ結論を言うとバットマンの最終回の話なンですよ、これ。


詳しいネタを言うと興をそがれると思いますので細かいところまでは触れませんが、これが実に胸を打たれます。コンフェッサーはあるべき姿で退場し、そしてオルターボーイは時間が掛かりながらもコンフェッサーの魂を受け継ぐという。オルターボーイが新しく始めるために訪れた墓地で、父親に語りかけるシーンとかもう最高すぎて号泣ものですよ、ええ。ラストシーンに至ってはもう涙腺は枯れ果てるほどに泣ける。このシーンに至るプロセスを是非体験してもらいたい。まさしく現代最高のコミックブックの名に偽り無しな作品です。どうして今絶版なんだ・・・


というわけで古本屋とかで発見したら即査収するが吉。アメコミって楽しいね